中国の雇用契約法は200811日施行された、同法の条例は同年918日施行された。いずれも5年あまりが経過している。話題性が過ぎているため、いまさら「雇用契約法?」と思われるかもしれない。しかし、現実では、多くの人は雇用者または被雇用者である。また、最近上海現地の日本人被雇用者が給料をもらえない話を耳にする。特に被雇用者の立場から権利を守るために、以下のいくつかのポイントを指摘しておくべきであろう。

・必ず書面により雇用契約書を締結すること、また、自分の労働時間の記録をとることである。それらは、労務紛争が起きるときのもっとも基本的な証拠になる。

・短期間のアルバイトでも、就業期間、給料等の基本的な事項を定める書面を作成する。

・雇用契約、労務関連の約束事を記載する書面は、必ず雇用主の社印を捺印してもらう。(中国では会社は社印、個人の場合、署名は法的な効力がある。)

・自分から雇用契約の解除を申し入れる場合、経済補償金(勤務一年につき、一か月分)を貰えないこと。

・労務紛争が起きる場合、自己の権利を守るために積極的に専門家と相談をする。弁護士費用は高いと躊躇するケースが多いようであるが、事情を話せば、考慮してくれる場合が多いである。

また、もっとも確実な方法は、時間をかけて関連労務法規を勉強することであろう。自己の権利を守る法律的な知識を習得すると同時に、中国語のレベルのアップに繋がる。まさに一挙二得(一石二鳥)である