ある宴席で、中国語のほとんどわからない日本の方が、「随意」という中国語を口にされたことに大変驚いた。よく考えたら、中国では宴会の場で「乾杯」と称して強烈なお酒「白酒」を勧めるのが一般的である。そのため、「随意」と話せば、その場を凌ぐことができるため覚えたのであろうと思った。その後も実際に「随意」と中国語で話して、その場を無事やり過ごした日本の方を見かけたことがあった。
先日の上海O型会で会員たちと雑談していた際、中国語でよく使われる「随便」との違いが話題になった。「随意」は、「随你的意」、「随我的意」あるいは「随他的意」となり「意思に従う」という意味だが、「随便」は、多くの場合「随你的便」、「随他的便」として「ご自由に」という意味で使われる。その時、ふと仏教に由来する「随縁」という言葉も思い出し、皆さんにお話したら、「いいね」とフェイスブックの定番語で評価された。
ちなみに、古都・南京に「随園」という庭園があると聞いている。「園」は「縁」と同じ発音だから、縁に任せる、または人が集まる「園」には「ご縁」が隠れているという意味で名づけられたのであろう。
昨今の目覚しい世相の変化で「坐立不安」(居ても立っても居られない)の境地に陥る際には、ご縁に任せようと心構えを変えてみてはいかがであろうか。もっとも、「随縁」とは何もしないで奇遇を待つのではなく、「人事を尽くして天命を待つ」と同様に最大限努力し結果を待つことだと思う。世の努力家たちに良縁が訪れることを願う。
(上海日本語コミュニティ情報誌『MARCO』2013年5月号掲載 / 筆者:王麗敏弁護士)